親の土地を子供へ

親の土地を子供へ名義変更するには

よくあるケースで親御さんの土地に子供さんが家を建てている場合で土地を子の名義にする方法ですが、大きく分けて(1)親が生きている時に贈与する。(2)親が生きている間に遺言書を作成しておいて、相続開始後に名義変更手続きを行う。(3)親の死亡後に相続人全員で話し合って、遺産分割によって名義変更手続きを行うことが考えられると思います。

親が生きている間に子供に贈与する

親から子への贈与契約を行い、贈与登記を行います。この場合は贈与税と不動産取得税がかかります。親が生きてる間に行う贈与の場合と親が亡くなった後に行う相続との場合を比べてみます。登録免許税が贈与だと固定資産税評価額の2%で相続の場合は0.4%になります。不動産取得税は贈与の場合は土地は3%住宅は3%住宅以外の家屋は4%(居住用だと減税される場合もあります。)が基本になります。相続の場合は不動産取得税はかかりません。贈与税や相続税は控除額を差し引いた後に課税されますが、贈与の場合は相続時精算課税制度を利用すれば取り敢えず贈与税の支払いが猶予されます。ざっくりと説明しますと2500万円までは贈与税を納めずに済みます。相続した時に相続財産の総額で相続税額を計算して一括して納付するというものです。贈与の場合は税率が高いなどのデメリットもありますが、親が生きている間に親子間の意志が尊重されるなどの良い点もあります。

遺言書を作成しておく

親が生きている間に子を指定して(長男とか次女とか)土地を相続させる旨の遺言書を作っておくという方法もあります。相続開始後は遺言書を使って土地の相続登記が出来ます。(相続人全員での遺産分割協議書などは必要ありません。)遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言は自分で書く遺言書ですが、自己流で作成してしまうと間違えて無効になったり相続手続きがスムーズに行かない場合も出てきます。法務局で保管して貰える制度もありますので、書き方等を行政書士などの専門家に相談されることをお勧めします。公証役場で作る公正証書遺言の方が証拠能力が高くて間違いがありませんが、費用がそれなりにかかりますし、書き換えるとなるとかなりの手間も発生しますので、どちらを選ぶのかよく考えて判断して頂きたいと思います。

遺産分割で名義変更する

親が亡くなった後に子ら相続人全員で話し合って、遺産分割協議書を作成して法務局に届け出て名義変更を行う方法です。(一般的にはこの例が一番多いようです。)この場合は相続人全員の話し合いが円満にまとまれば良いのですが、仲の良い兄弟姉妹でも利害関係が絡み合ってスムーズに進まないことも珍しくはありません。親御さんの名義の土地に子供さんの一人が家を建てている場合などは、土地の所有者と建物の所有者が異なったままになりますので、その後の売却や次の代の相続でも面倒なことになります。(相続登記も義務化されています。)出来れば親御さんが元気なうちに生前贈与されるか、遺言書に誰に譲られるかを明記されることをお勧めします。親御さんが残してくれた土地で子供さん達が幸せに暮らしていかれることが何よりのことだと思います。

行政書士 辻賢一事務所