愛する人が亡くなりました。でも直ぐには行ってはならないこと。

銀行に亡くなった事実を知らせる。

銀行に亡くなった預金名義人の死亡を知らせるのは、至極当然の事のように思えます。ですが、少しお待ち下さい。故人の口座は凍結されます。預金を下すことも預けることも出来なくなります。アパート等のオーナー様で賃貸業をされている場合は借主さんが家賃を振り込むことが出来なくなってしまいます。借主さんに連絡して振込口座の変更を済ませて下さい。各種クレジット決済の引き落としを設定している場合も同様で引き落としが出来なくなります。引き落としが落ち着いてからお知らせ下さい。亡くなった後は何かと出費が嵩みます。預金口座が凍結される前にATMで現金を下しておきたいところですが、後で相続人同士で揉める原因になりがちです。下す際は相続人の間で了解を得ておく事や、使った使途と領収書やレシートを残しておいて下さい。また故人の預金を下して使ってしまうと負の財産(借入金)が多い場合に相続放棄が出来なくなりますので注意が必要です。よく誤解されがちですが、死亡届を提出すると直ちに預金口座が凍結されると思われがちですが、死亡情報が銀行に伝えられることはありませんし、違う銀行の間での情報共有もありません。

故人名義の携帯電話を解約する。

亡くなった事実を故人のお友達や交流のあった方の全てに連絡することは、難しいと思います。暫くしてから故人の携帯電話に連絡してくるケースが多くあります。故人の携帯電話は直ぐに解約せずに、ご家族と連絡が繋がるようにして下さい。また最近ではネット銀行を利用されている方も多いと思います。ネット銀行では紙ベースの通帳がないことも珍しくありません。ご家族との信頼関係もありますが、ネット銀行の銀行名やパスワードが記された書類の場所を知っておくことも大切だと思います。故人が生前中にネット銀行名や預金を下せるパスワードそのものを聞くことは気持ち的にトラブルの原因になりがちですが、万が一の時の為にそれらを記した書類の場所という事であれば大丈夫というケースも多いようです。携帯電話は写真や動画など故人のプライベートがたくさん記録されています。解約後も携帯電話の端末は故人の思い出として、ご家族が大切に保存されるケースも多いようです。

遺言書を見つけて開封してしまう。

故人が書いておいた自筆証書遺言を見つけて、直ぐに開けてはいけません。何が書いてあり、どのように遺産が分けられているかは、相続人にとって、とても気になるところですが家庭裁判所での確認の検認手続きが必要になります。検認手続きを受けずに開封してしまうと5万円以下の過料を科せられる場合があります。封がされていない自筆証書遺言は無効かというと封のない遺言書も法的には有効です。この場合も検認手続きは必要になり、検認を行う家庭裁判所は故人の住所地を管轄する家庭裁判所になります。検認は相続人が立ち会うことになります。出席するかどうかは相続人各自の判断となりますが、トラブル防止の為にも相続人全員が立ち会った方が望ましいと思います。所定の申立書に必要事項を書いて提出することになります。後日、銀行口座や不動産の名義変更をする時に検認済み証明書の提出が求められる事がありますので、ご留意下さい。

行政書士 辻賢一事務所