不動産の額の決め方
遺言書が無い場合で相続人の間でトラブルになりやすいのが、家や土地等の不動産の評価額をいくらに換算するのかという問題です。ひとつの目安となる額として役所で取得することが出来る「固定資産税評価額」という固定資産を計算する為に用いられる評価額があります。この評価額は実際に不動産市場で売買される金額の60%前後となっていて、相場よりもかなり低い金額となっています。その為に不動産を取得した相続人が他の相続人達から、その不動産はそんなに安い価値ではない。不公平だとトラブルの原因となってしまうのです。不動産の評価額としては固定資産税評価額の他にも様々な評価があります。ちなみですが相続税の評価額は自己使用か貸し出すかの使い途で変わりますが固定資産評価額は変わりません。
様々な評価額の仕方があります。
1.時価、実際に不動産市場で取引されている価格ですが、需要と供給があり買いたい側のタイミングや将来的な流動性もあり実勢価格をタイムリーに割り出すことは難しいと思います。2.固定資産税評価額、前述しました固定資産税を計算する為の評価額です。3.公示価格、国土交通省から標準的な宅地価格として公表された価格。4.相続税評価額、相続税を計算する為の評価額で時価の80%程です。5.鑑定評価、国家資格者の不動産鑑定士が鑑定した評価額になります。価格根拠の明瞭さに重きを置くなら固定資産税評価額か相続税評価額が良いと思います。市場価格とのバランスに重きを置けば土地については相続税評価額×1.25倍、建物については固定資産税評価額×1.3倍が良いと思います。相続人の間で話がまとまらなければ調停となり、調停でも折り合えなければ家庭裁判所が選任した不動産鑑定士が価格を算出した額となります。(鑑定費用は相続人の負担となります。)
心の問題でもあります。
亡くなられた被相続人が生前に遺言書を作成しておけば良いのですが、そうでなければやはり相続人の間での話し合いになります。多くのケースでは親御さんの残してくれた財産を兄弟姉妹で分けることになりますので、相手の言い分を良く聞いて円満に解決することが大切ではないでしょうか?例えば地元を離れて生活されている次男さんには預貯金を、地元で暮らされている長男さんに家や土地の不動産を相続させる等が考えられます。不動産も地域的には価値が低く「負動産」になってしまっているケースもありますし、近くにあった大型ショッピングセンターが撤退して市場価格が下落したケースもあります。(前述の流動性で逆に再開発計画等で市場価格が上がることもあります。)生まれ育った家には評価額では計れない思い出の大きさもあると思います。兄弟姉妹さん達がよく話し合って円満に相続され、その後も仲良く暮らされることが亡くなった親御さんへの何よりのご供養になると思います。遺産分割協議書の作成はお近くの行政書士事務所にご相談下さい。