
マンションも年を取ります
マンションの老朽化問題は、人と同じで年を重ねると経年劣化によって建物や設備が損なわれてしまって住まいの環境が悪くなってしまいます。築40年を超えてしまうマンションが2018年には81万4千戸をオーバーしていて2028年には197万8千戸2038年には366万8千戸を超えると予想されています。老朽化マンションが増加するとマンションの資産価値が下がってしまうことは勿論ですが空家問題や治安が悪くなるなどの社会全体の問題として深刻な影響が懸念されます。老朽化が進行してしまうとマンションの外壁や内壁のひび割れや欠損、上下水道管の漏水や雨漏り、エレベーターの故障など共用設備の不具合が生じたりします。延いては耐震基準を満たさなくなったり、マンションそのものの資産価値が大きく下がってしまうことにもなりかねません。
老朽化マンション問題への対応策
マンションの老朽化問題は、今後更に深刻化することが予想されていますので早期に対策を講じることが必要になります。その為には長期修繕計画を立てて劣化や不具合を計画的にメンテナンスして行くことが大切です。そもそものお話になってしまいますが、マンションを販売する会社の戦略として販売当初は修繕積立金を低く設定されているケースが多くあります。マンションの築年数が新しいうちは大きな修繕費用は発生しませんが、年を重ねる度に修繕個所も費用も嵩むことになり修繕積立金も値上げを検討しなくてはならなくなります。管理組合の中で検討委員会等を立ち上げて修繕計画や積立金の見直しなどを行う事も大切です。また住民の方の高齢化に伴って、バリアフリーの考え方を導入するなどマンション自体の性能をグレードアップして、資産価値を高めるための工夫も必要になります。
マンションを終の棲家にする為には、、
マンションの老朽化問題は、住民の皆さんの高齢化問題と相まって今後は更に深刻化すると言われています。マンションを購入された方が高齢になりマンションを終の棲家にしたいと考えられている人も少なくはありませんが、主な収入が年金収入になり、修繕工事に伴う一時金の支払いや管理費や修繕積立金の大幅な値上げは払えないケースも出てきています。充分なメンテナンスが出来ない老朽化マンションは地域環境の悪化や自治体のまちづくりにも大きな影響を及ぼす可能性があります。これからは法律で定められているマンション管理組合の果たす役割は益々重要となります。しかしながら現状の多くは役員さんは持ち回り制であったりして理事会が充分に機能していないケースや、同じ人が長く理事長などの役職を続けることで管理会社との癒着などの弊害もみられるケースもあります。優良な修繕計画を立てて実施しているマンションに対しては国も固定資産税の減額優遇制度を実施しています。一級建築士やマンション管理士などの外部の専門家を活用して安心して暮らし続けられる計画案を作って実行して行くことが何よりも大切だと思います。
「行政書士 辻賢一事務所」 マンション管理士・特定行政書士 辻賢一