マンションの災害時の断水について

生命を繋ぐ水

マンション災害時の電気・水道・ガス等のライフラインの中でも水道の果たす役割は大きいものがあります。水無しでは人は生きては行けません。正に生命を繋ぐ大切な水となります。マンションの高層化が増える中で災害時の断水は切実な問題となります。最新のタワーマンションが水害で被災してしまい水道本管には支障がないにも関わらず給水出来ないケースが起きてしまいました。マンションに供給される水道水には水道法に基づく水質の基準が設けられており基準をクリアしなければなりません。また、それぞれのお部屋に供給するには常に適正な水圧が必要になります。水圧が低すぎる水の出が悪くなり給湯器からの給湯に支障が出たり、水圧が高すぎても給湯器や配管に必要以上の負荷がかかり、水栓回りでの跳ね返りや器具の故障水漏れの原因にもなったりします。

マンションの給水方式

マンションの給水方式には幾つかの方式がありますが、大きく分けると水道本管から引き込んだ水を増圧給水ポンプで各住戸に送る方式。水を受水するタンクを地上に置く方式。水を貯めるタンクを屋上などに置く方式があります。水道本管から各住戸に送水する方式では受水槽や高置水槽が要らない為に省スペース化や設備コストの低減が図られる等のメリットがあります。受水槽が要らないので水質の衛生管理が良い事も利点ですが水道本管への逆流を防ぐための装置が必要となります。水を貯めるタンクを屋上など高い所に置く方法としては水道本管から引き込んだ水を増圧給水ポンプを経て高置水槽まで水を揚げて各住戸に重力により給水する方法や水道本管から引き込んだ水を一度地上の受水槽に受水して揚水ポンプで高置水槽に揚げる方式などがあります。

給水方式のメリット・デメリットを知る

何れの方式においてもメリット・デメリットがあります。受水槽や貯水槽が要らない方式ですと水の衛生管理が良い。設備の為の場所を必要としないメンテナンス費用が抑えられるなどの利点があります。デメリットとしては停電や断水時には直ちに給水が止まってしまうことなどがあります。高置水槽のある方式ですと水道管の断水時でも水槽に貯められている分は給水が可能です。福岡で大渇水が起きた時でも、このタイプのマンションは給水が出来た事例もあります。受水槽や高置水槽がある分スペースが必要となる。定期的なメンテナンスも必要となります。マンションの購入や賃貸を考えられている方は、図面などで給水方式を見て現地で設備も確認して頂きたいと思います。特にマンション自体の立地場所が低い所にある場合は水没などにより給水の電気系統にトラブルが起きてしまうと水道本管には支障がなく電気も復旧してもマンションでの断水が長引いてしまうことも実際に起きています。特に高層階にお住まいのケースは停電や断水が長引くと水の運搬も大変なことになりますし、被災したマンションの価格相場がその後に下落してしまったケースもあります。普段は何気なく使うお水ですが給水方式を知って頂いて快適なマンション生活を過ごして頂けたらと思います。

マンション管理士 辻賢一事務所