
犯人は逆らわない方が良い?
よく防犯講座でも暴力事件に遭遇したら、「犯人には逆らわない方が良い。」と教えられる講師が居ますが、自分は全くお勧めしません。銀行や貴金属店、一般の邸宅等に押し入った強盗に「静かにしろ!逆らうな!」と言われて犯人の命令に従って穏便に済んだ。被害が少なく済んだ。というケースは自分が知る限りはありません。犯人は押し入っての初動から短い時間で複数の被害者の抵抗力を無くして行動をコントロールして、その後の犯行をやり易くしたいと考えて行動しています。「動くな!こっちへ来い!壁側に並べ!」等の指示を聞いてしまっては、それこそ犯人の思う壺なのです。人はパニック状態に陥ると強い指示命令に無意識に従ってしまう傾向があります。ましてや防犯講座などで犯人を刺激しない為にも抵抗はしない方が良いなどと教わってしまうと尚更です。
ばらばらに逃げろ!
では、このような強盗事件に遭遇してしまったら、どうすれば良いのでしょうか?それは「ばらばらに動け!(逃げろ)」です。逃げるにしろ、闘うにしろ、各自がその時の瞬時の判断でばらばらに動くことです。動きがばらばらである程、犯人達の集中力は分散され、行動も個別に対応しなくてはならなくなり、時間が稼げる事になります。また、ばらばらに逃げることにより、一人でも犯行現場から逃げることが出来れば警察に通報することが出来ます。逆に犯人の命令に一律に従ってしまえば、その後は身体的にも精神的にも犯人達の支配コントロール下に置かれてしまい、1979年に起きた三菱銀行人質事件のような更なる暴力被害に遭ってしまうことにもなりかねません。
津波てんでんこ
「津波てんでんこ」は、津波が起きた時は、各自がてんでんばらばらに高台へ逃げろという意味の三陸地方に伝わる教訓です。一見すると、自己中心にも思えますが津波のような一刻を争う状況下では、先ずは自分の身を守ることが結果的に周囲の人々の避難を促し、生存率を高める考え方に基づいています。不幸にも強盗事件に遭ってしまっても、この教訓はあてはまると思います。銀行等の防犯訓練でも「ばらばらに動け」が活かされています。非常通報装置を押す係・防犯用のカラーボールを投げる係・犯人の特徴を覚える係など役割を分けて、ばらばらに行動することによって被害の拡大防止や犯人の早期逮捕に繋げられるように工夫されています。家庭内でも遊び感覚でも構いませんので、ご家族で対強盗を想定しての防犯訓練を行っておくと良いと思います。防犯は日頃の心構えがとても大事です。防犯講座のお問い合わせはお気軽にご相談下さい。
「行政書士 辻賢一事務所」 空手道師範 防犯アドバイザー 辻賢一