患者の気持ち・家族の思い。
難病に罹ってしまった患者本人の苦悩や葛藤は、本人でしか分からない大変なものがあると思います。傍に居る夫の自分でさえも寄り添うことしかできない無力感や悲しみの感情が沸き上がります。もう、この病気は治らないと悲観的になってしまったり、明日は奇跡が起きて、また幸せな日常が戻ってくるのではないかなどと叶わぬ希望を持ったり、当時は自分もかなり感情のコントロールが出来ない状態になったりしていました。その中でも各種の手続きや仕事、家事、医療費の支払い等、日々の暮らしは待ってはくれません。妻の場合は病気の進行が早く、夜勤が多くミスが許されない自分の仕事では妻を一人で家においておく時間が恐くて、何度も仕事の途中で安否の電話をかけてしまったりしていました。でもその電話に出ることさえ辛くなるほど病気の進行は待ってはくれませんでした。
公認心理師さんとの出会い。
いろんな経緯がありましたが、(別途書きたいと思います。)何とか住まいの近くの病院に希望通り妻を入院させることができました。主治医のドクターや病棟の看護師長さんとも面談の機会を持つことが出来ましたが、担当で公認心理師(公認心理師法に基づく国家資格で、心理に関する支援を要する者との心理相談による助言・指導を行う)方が付いて下さり、患者である妻や夫である自分の話を定期的に聞いて下さいました。人は話を聞いて貰うだけで、かなり心が落ち着くものです。身近に安心して相談出来る人が居れば良いのですが、守秘義務が守れなかったり、望んでもいない不確かな情報を提供してきたり、考えを押し付けたり、それが善意から来るものでも逆に患者や家族の心を乱してしまう新たなストレスの原因になったりします。そういう観点からも、しっかりと心理学を学ばれている公認心理師の先生のカウンセリング(付かず離れず寄り添って下さるような)は有り難いものでした。
病院や施設を選ぶ際の要素に。
妻も心理師さんと話すことで笑顔を見せてくれたり、自分も話を聞いて貰えることで心の平穏が、何とか保たれたような気がします。また主治医ドクターとの面談との仲介なども行って貰って、時には同席してくれたりもしました。この病院では、先進的に公認心理師を担当に付けて下さっていたみたいで、まだまだ制度として導入されている病院は少ないようです。これは、公認心理師を患者の担当に付けても、あまり診療報酬にカウントされない。(病院側にとっては、お金にならない。)制度上の問題があるようです。国家資格の公認心理師が創設される以前は、民間資格ですが歴史も実績もある臨床心理士の皆様が学校のスクールカウンセラーをはじめ医療現場でも、この役割を担ってこられたみたいですが、高学歴で実務経験を要する大変な資格の割には非常勤での契約も多く、ボランティア的な活動に支えられてきた部分も少なくはないようです。大変な病気に罹ってしまった患者さん本人、支える家族の心のケアは本当に大切なことだと思います。心が壊れてしまっては身体も持ちこたえられる筈はありません。これからの病院や施設等にはなくてはならない人材だと思いますし、患者さんやご家族が病院や施設を選択する時の大きな要素になってくるのではないかと思います。
⇩