診察は出来ません。

確定診断後の初めての診察日。

佐賀医大病院の検査入院からALSの確定診断。退院して初めての診察日は、妻の病状の日々の進行状況等を書いたメモを持って早めに唐津赤十字病院へ向かいました。受付を済ませようと窓口に向かうと、窓口前に係りの人が立たれて、職員の中からコロナに罹った人が出ましたので、診察が受けられるかどうかは担当医師が判断しますので、病棟の診察室前で医師の指示を受けて下さいという旨の事を繰り返し言われていました。特段にお詫びの言葉などはありませんでした。少し不安な気持ちを覚えましたが、佐賀医大病院に検査入院して退院後の初めての診察日なので診てもらえるだろうと思い病棟の待合室に向かいました。

診察は出来ません。お帰り下さい。

病棟の待合室で予約予定時間から30分ほど待たされて、看護師さんから「診察は出来ませんのでお帰り下さい。」と申し渡されました。診てもらえるものと信じていましたので、ALSの確定診断後、初めての診察日なので是非診て欲しいとお願いしました。看護師さんは診察室に戻り担当医師と話をされているようでした。数メートル先に担当医師が在るのに伝言ゲームみたいで、もどかしい限りでした。看護師さんが待合室に戻って来られて、やはり診察は出来ないと言われました。自分は妻の病状の進行が早いので、持ってきた病状のメモだけでも担当医師に伝えて欲しいと再度、お願いしました。暫くすると看護師さんから特別に担当医師が電話をかけて下さると言われていますので診察は出来ませんが、帰宅して自宅で待つように言われました。この担当医師は自身が原因不明と診断して、佐賀医大病院でのALSの確定診断後の初めての診察日に担当した患者が気にならないのだろうかと、やりきれない思いで胸がいっぱいになりましたが、どうすることも出来ません。

病気が人質。

待合室前では何人もの患者さんが診察を待たれていましたが、ほとんどの方が予約予定時間過ぎまで待たされてから診察は出来ませんと言われていました。呆然とされている患者さんや、付き添いのご家族の方も休みを取って遠方から交通費を使って来院したのにとか、コロナ禍防止の為に診察は出来ないというなら前日に電話連絡してくれたら無駄足にならなかったし、外出せずに予防にもなったとか悔しそうに、つぶやかれていましたが病気という人質を取られていますので、強く主張も出来ず患者同士で慰めあう術しかありませんでした。病院を変わりたいけど、特定の病気で中核病院である日赤病院に通わなくてはならない選択肢がないと溜息交じりに帰宅の途につかれる患者さんもいらっしゃいました。自分達は遠方ではありませんが、思うように動かない身体で来院までの移動で疲れてしまった妻に申し訳なく、帰宅して何時になるか分からないという担当医師の特別な計らいという電話を待ち続けました。

行政書士 辻賢一事務所