⑴頭の痛い未納問題。
管理費・修繕積立金の未納問題は、どこのマンション管理組合様に於いても頭の痛い問題の一つのようです。特にオーナー様が自らお住まいになるのではなく、投資目的で購入された場合等は、コロナ禍による海外からの観光のお客様が見込めなくなり、民泊事業の需要の激減などによって管理費・修繕積立金が支払えなくなるケースも近頃は発生しています。勿論、管理組合様が契約を結ばれている管理会社に有効な手立てを取るように働きかけることは言うまでもありませんが、管理組合様が主体的に解決策を講じていかないと、計画修繕費の不足や設備契約会社への支払い遅滞等、将来的には管理組合会計の健全な運用に支障をきたすことにもなりかねません。解決策としては、、
⑵解決策は?
①督促状の送付。オーソドックスな手法ですが、支払い請求の事実を残すためにも大切です。支払いが滞っているお部屋のオーナー様に直接に会うことが出来ない場合や電話やメール等の通信手段で支払いを促しても応答が無い場合もあります。この様なケースは、内容証明郵便・配達証明郵便を利用するなどして、しっかりとした支払い請求実績を残すことが必要です。オーナー様と連絡が取れるようでしたら、話し合いの場を持ち、今後の支払い計画書を作成して提出してもらう事も実効性のある方法の一つです。
②管理組合で法的な手続きを行う。延滞金額が多くなればなるほど、問題が長期化する傾向にあります。管理費・修繕積立金の未納金額が多額になると、売却も難しくなり、売れても新たなお部屋のオーナー様が未納金の支払いを拒むなどの新たな問題も発生してしまいます。(法的には新たに買ったオーナー様が残債の支払い義務を負うことになりますが、転売の際に不動産会社の説明不足や買主様の理解度不足の為にトラブルになることもあります。)延滞金額が大きくなる前に少額訴訟制度を利用して、判決を貰っておくことも有効な手段です。(通常の裁判より費用も少なくて済み、原則として1回の期日で判決がでます。判決書に基づき強制執行を申し立てることが出来ます。)
③延滞されているお部屋の入退出禁止措置を講じる。管理会社と連携して入退出管理を厳格に行い、支払いがない場合は入退出禁止措置を行います。お部屋が事実上、使えなくなりますので速やかに解決に向かうケースもありますが、この場合は法的な根拠を必要とする部分もありますので、管理会社やマンション管理士、弁護士等と連携、相談して慎重に行う方が良いかと思います。
専門家を活用しましょう。
どちらにしろ、管理費・修繕積立金の未納問題はケースバイケースで個々の事案によって、有効な手段は違ってきますので、管理会社を交えての理事会等で充分に検討する必要があると思います。マンション管理士などの外部の専門家を活用して、弁護士に法的な確認を取ってから実行されることをお勧めします。
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