突然に家賃が値上がりした

借りているマンションの家賃が大幅に上がってしまった

最近の現象として都市部での賃貸マンションの家賃は値上がり傾向にはあります。テレビ等でも報道されていましたが、大阪市内の某マンションでは管理会社が変更になるお知らせと併せて家賃が2倍近くになるという掲示がある日突然貼られて賃借人さん達が値上げに応じるか、新しい物件を探して退去するか大変困惑されていました。ではこのような場合はどうしたら良いのでしょうか?家賃の値上げは「借地借家法」という法律に定められています。第32条によれば建物や敷地の価値が上がって大家さんが支払う固定資産税が増えてしまった場合や周りの同じような賃貸マンション物件よりも家賃が安い場合が挙げられています。もちろん周りに同じような賃貸マンションが増えて家賃相場が下がっている場合などは賃借人から家賃の値下げの申し出を行うことも出来ます。大家さんからの家賃の値上げのタイミングとしては賃貸物件の2年毎の契約更新時が多いようですが、法的な根拠はありませんので大阪市のマンションの件のようにある日突然というケースも起こりえます。

法的に値上げを拒むことも出来ますが、まず話し合いましょう

家賃の値上げに納得できなければ今の家賃を払い続けて、金額の交渉を行うことは勿論出来ます。大家さんが今の家賃額を受け取ってくれない場合は、国が定める供託制度を活用して今の家賃額を法務局に供託しておけば、家賃不払いを理由に退去させられることはありません。先ずは大家さんの家賃値上げの理由をよく聞いて話し合うことが大切だと思います。間に仲介不動産会社や管理会社が入るケースもありますが、出来るなら直接に大家さんと話し合われることをお勧めします。値上げの理由について良く聞いて折り合える着地地点を見つけることが大切だと思います。その為には「借地借家法」や周りの同じような物件の相場租税公課の推移を知っておくことも大切です。そもそも大阪市内のマンションの事案については借地借家法第32条に該当するとは思えません。コロナ禍が落ち着いてインバウンド需要が戻ってきた中で賃借人に出ていってもらって、より収益性を見込める民泊事業を始めたいという目論見が見え隠れします。(民泊事業についてはマンション管理のマンションでの民泊事業と法律で前述していますので興味のある方はご覧下さい)大家さんのお話をよく聞いて折り合える条件で解決出来た事例も多くあります。

解決策は法律と人の心の間にあると感じます

自分がお話しを聞かせて頂いた事例でも、複数戸のマンションを賃貸に出されている大家さんが一時的に現金収入が必要になり家賃の値上げを打診されましたが、長く住みたい希望の賃借人さん達が年間の家賃を前払いする事で値上げをせずに解決できた事例もあります。(関係者様の許可を得て載せてます。)家賃値上げの打診のタイミングで話し合いを行わずに賃借人さんが値上げを拒否して話がこじれてしまうケースもあります。知識は大切ですが法律論ばかり振り回すと当事者間での話し合いにならずに裁判沙汰になることもあります。裁判には時間もお金もかかり何よりも心的なストレスが溜まってしまって、健康的な生活を送れない事態になってしまうことすら起こりえます。裁判になった当事者の方のお話でたとえ勝訴になっても裁判して良かったと言われる方を自分は聞いたことがありません。相手あっての交渉事です。相手の話をよく聞いてお互いが折り合える解決策を計ることが大切な気がします。マンション管理に関するご相談はお気軽にお問い合わせ下さい。

マンション管理士 辻賢一事務所