住宅宿泊事業法。
マンションでの民泊事業が増えた時代背景につきましては、前回で述べさせて頂きましたが、今回は法律関係にも少し触れたいと思います。インバウンド需要の増加などが後押しともなって2018年に住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が施行されました。従来の旅館業法の許可だけでなく、特区民泊の認定や届出により民泊事業のハードルが下がり民泊事業が行いやすくなりました。また建築基準法の用途地域の制限枠も民泊新法では緩やかになっています。マンションは、そもそも消防法による設備基準をクリアしている物件が大半で、新たに消防設備費をかけなくて済むというメリットもあり、マンションでの民泊事業が増えた要因となっていると言えます。
民泊事業とマンション管理規約。
このような民泊事業が増加する中で、当然ながら管理規約の見直しが必要となり、標準管理規約も改訂されました。12条の2項として民泊事業を認めるか認めないかの項目が追加されましたが、未対応の管理組合様も多く改定が必要になりました。改訂に必要な議決権については前回述べさせて頂きましたが、住んでいる人の気持ちと違う議決が出てしまうケースもありますが、80%程度のマンション管理組合様は民泊事業を認めない規約改定を行っているという統計が出ています。また残念ながら、このような法律や管理規約を無視して民泊事業を行ってしまう違法な事業者が一定数出ていることも事実としてあります。では、民泊事業はマンション管理組合様にとってデメリットの方が多いのでしょうか?、、メリットについても述べたいと思います。
マンションでの民泊事業を許可するメリット。
マンションでの民泊事業を許可することにより、民泊事業での投資目的でマンションを購入したいオーナー様が増えて、結果マンションの売買価格が上がり、マンションとしての資産価値が上がることになります。コロナ禍の影響により収入が大幅に減少してしまって、ローン返済が滞ってしまったり、管理費が払えなくなってしまったオーナー様も増えています。また物価の高騰により、当初の修繕予定費では賄えなくなり、管理費や修繕積立金の値上げを検討しなくてはならなくなっている管理組合様もあります。民泊事業を許可する条件として管理費と別に、追加で費用を負担する規約を作ることで、管理費を値上げせずに管理組合様の財政を健全化を計ることが見込めます。マンションでの民泊事業については、様々なメリットとデメリットがあります。共存共栄出来る方法を見つけることが大切だと思います。