暴力は決して許されません。

暴力は、決して許されるものではありません。しかし一方的な理不尽な暴力に対して対応できるように心掛けておくことは、無差別な暴力行為が珍しくなくなってきている現在では必要なことだと思います。参考までになればと体験を記させてもらいます。

繫華街での乱闘。

1回目は、まだ20才代の中頃で同僚達とイベントが無事に終わった後のお疲れさま会で夜の繫華街に繰り出した時です。自分が支払いを済ませて1階の路上に降りた時でした。同僚の悲鳴が聞こえ、行ってみるともうすでに乱闘が始まっていました。同僚の前には身長185センチはゆうに超えるがっしりとした巨漢の男が同僚を抑え込んでいました。「止めろ」と声を掛けると男は自分に向って来て、いきなり服を掴み振り回して押し倒してきました。自分は酔いも回っていて不覚にも転倒してしまい、転んだ状態での下からの蹴りが幸いにも男の腹部辺りにヒットして立ち上がることが出来ました。たまたま運が良かっただけで、そのまま抑え込まれて殴られ続けられたら、自分は大怪我を負っていたと思います。それから自分の突きと蹴りが何度もヒットしましたが、男は倒れてはくれません。横からの突きが男の顎先をかすめると、ようやく倒れてくれました。(人は、真っ直ぐの攻撃よりも脳を揺する横からの衝撃の方が効く事を実体験しました。)

反社会的組織の方の介入とパトカーの到着。

隣では柔道の有段者である同僚が巨漢男の仲間の一人を投げ飛ばしていました。同僚は若干の手加減をして相手が落ちる寸前に手を引いて、頭の路上直撃を避けてあげて抑え込み、それ以上の抵抗をしないように諭していました。周りの状況をみると巨漢男が倒れてくれたせいで、乱闘は収まりつつありましたが、「ぎゃー」という馬乗りになっていた同僚の声が、、何と抑え込まれていた男が同僚の指に嚙みついたのです。同僚は「離せ」と言いながら上から殴っていましたが、相手の男は逆に歯を食いしばって状況は悪くなるばかりです。自分がその男の鼻を塞ぎ呼吸を止めるとやっと離してくれましたが、同僚の指からは、かなりの出血で早く手当をする必要がありました。和服姿の年配の女性が「何をやってるの止めなさい。死んでしまうよ。警察を呼んだから、、」と叫んでいました。同僚達と顔を見合わせていると、明らかに格好が反社会的勢力の方だと思われる2人が刃物を持って威嚇して「お前たちは、ここをどこのシマだと思って暴れてるのか?」と迫ってきました。そうこうしていると繫華街は一方通行道路でしたが、道路の両方向から挟み込むようにパトカーが赤色灯を回しサイレンを鳴らして到着しました。

暴力を伴う事件は予測不能。

いつの間にか周囲は野次馬の見物人で溢れていました。それから同僚達と落ち合う場所を小声で確認して、てんでんバラバラに必死で逃げました。1時間後位に同僚達とは、落ち合うことが出来て、皆大きな怪我はありませんでしたが指を嚙まれた同僚が病院に行ったことや、現場に救急車が来てたが倒れていた巨漢男は乗らずに、両脇を仲間たちに支えられて退去して行ったなどの情報が野次馬に紛れて見ていた同僚から告げられました。その後、幸いにも警察や反社会的組織の人、乱闘相手達からの連絡も無く、無事に事なきを得ましたが指を嚙まれた同僚は、指に大怪我を負い病院で狂犬病の注射を打たれ、暫く通院する事になりました。乱闘のきっかけは、人懐っこい自分の同僚が相手の人達に話しかけ、その口のききかたが悪いとのささやかな事だったようです。このように暴力を伴う事件では何が起きるかは予測不能なのです。遭遇しないに越したことはありませんが、経験値が人を強くして対応力を高めることも間違いのない事実です。