担当医師からの電話。
担当医師からの特別な計らいだという電話がかかってきたのは、帰宅後3時間ほど経った頃でした。担当医師に佐賀医大病院でALSの確定診断がなされ、アドバイスを頂いて難病認定申請中であることや、思いの外、妻の病気の症状の進行が早いこと、自分の仕事が夜勤が多くミスの許されない職種で、出来れば妻を受入可能な病院か専門施設に入れたいこと、次回は必ず診察をお願いしたいこと等をお話しさせて頂きました。これはあくまで自分の主観ですが、自分が関わりを持たせて頂いた唐津赤十字病院の担当医師、看護師、事務スタッフの皆さんは表面上の言葉は丁寧ですが、流れ作業的で気持ちに暖かみは感じられませんでした。たくさんの患者さんを受け入れられているから仕方がないのかも知れませんが、佐賀医大病院の皆さんからは方言が混じりながらも暖かい言葉や思いやりが随所で感じられ、どうしても比べてしまっていました。次回の診察日にソーシャルワーカーさんを交えて相談することを約束して電話を終えました。
患者側が自ら行動しなさい。
予定の診断日には、今度は無事に診察を受けることが出来ました。妻は担当医師から問診や触診を受け、その後、ソーシャルワーカーさんを交えて今後の治療方法についてお話をさせて頂きました。自分は幸運にも事前に医療現場に詳しい方から様々なアドバイスを受けることが出来て、「患者側自ら積極的に動かなければ、なかなか話が先に進まないのが医療現場の現状です。」と教えて頂いていたので、ALSを長期で受け入れ可能な病院や施設を調べて書面にしていました。先ずはソーシャルワーカーさんからの提案を聞かせて貰いました。すぐに入院出来ると言われた病院は、自分が調べた病院や施設リストには入っていませんでした。提案して頂いた病院は過去に資格の無い人に医療行為をさせた事があり、自分の知る限りでも、あまり良い評判は聞いたことはありませんでした。自分はソーシャルワーカーさんに書面を見せて、リスト先に入院が可能かどうかを調べて下さるようにお願いしました。ソーシャルワーカーさんからの連絡を待つことになり、病院を後にしました。
希望の病院に入院。でも、、
数日後にソーシャルワーカーさんから連絡があり、自宅から近いことや自分の知る範疇での看護の評判も良かった第一希望の唐津済生会病院に入院出来ることになりました。アドバイスを受けた医療現場に詳しい方も水面下で動いて下さったようです。(詳しく記すと人物が特定されてしまいそうですので控えます。)指定された日に妻と一緒に病院に行き(この頃は車椅子が必ず必要になってしまいました。)担当医師の診察や入院手続きをして済ませて自分一人で帰宅しました。これで自分が留守にしている間の妻の安否を心配せずに済むという安堵感とコロナ禍の中で面会もままならないという現実を突き付けられ、妻が居なくなった空間を呆然と眺めて、どれ位の時間が流れたのか分からないまま、涙が溢れて止まりませんでした。でも現実には仕事、家事、医療費の支払いは待ってはくれません。身体障害者手帳申請では、また信じられない出来事が起きてしまいますが、また次回以降にお話したいと思います。