体験記にもならない出来事。
先日、数少ないこのブログの愛読者である友人から、刃物で刺された(正確には切られた。)時の事件を体験記に載せてないのはおかしいだろうとご指摘を頂きました。自分としては体験にもなっていないと思い込んでいて載せること自体が頭に浮かんでいませんでした。それは自分が市議の仕事をさせて頂いていた頃のことですが、医療廃棄物の不法投棄の疑いがあると市民の方から連絡があり調査していました。医療系廃棄物は適正に処理を行えば、当然それなりのコストがかかります。滅菌粉砕処理を行い最終処分場に収めることになりますが、使うことがない山林などを資材置き場の名目で安く借り上げて、素掘りして埋めてしまうという適正でない荒っぽい手法を取れば大きな利益が出ます。勿論、その後の自然環境に与える影響や人への被害を考えれば決して許されることではありません。
目に見えない恐怖。
市の担当部署と調査や行政機関として出来る対応などを進めていました。また議員提案権を用いて議会に環境基本条例の発案・制定を目指していました。最初は、関係されていると推定される企業から会食や献金等の申し出がありましたが、調査中であることからお断りをしていました。そのうちに電話やファックスでの嫌がらせを受けるようになりました。警察にも相談して、自宅周辺のパトロール等のそれなりの対応はして頂き、電話も録音するなど対策はしていましたが、直接に脅すような文言は使わずに、「世の中は何が起こるか分かりません。お体を大切にされて下さい。」などの文言を使い、ファックスも白紙をエンドレスで送信して使えなくする手法でした。脅迫の証拠には至りませんが充分過ぎる恐怖は感じていました。同僚議員達からも「手を引いた方が良い。」と忠告されていました。
名前を呼ばれて振り返ると、、
その頃、お隣の福岡県の中州では「中洲ジャズ」というイベントが開催されていました。一流のジャズバンドやミュージシャンが街中で演奏して頂けるので、ジャズ好きの知人と観賞しに出かけました。街中に流れる心地良いジャズの音色に浸っていると、不意に後方から名前を呼ばれました。振り返ると刃渡り12~13センチ程の刃物を持った中年男性が立っていて、自分の左腰骨辺りから血が出ていて切られたことが分かりました。相手の男性はブルブルと震えていて殺意がないことは見て取れました。廻りは、少しざわつきましたが、イベントに水を差したくなかったのと傷が浅く横に切られただけだったので、取敢えず止血処置をして静かに会場を離れて病院に向かいました。相手の男性は後で分かりましたが上の人に、暗に支持され行ってしまったとの事でした。
一方的な暴力は防ぎ難いのが現実です。
これが事件の顛末で、自分として振り返っただけで、何も対応できずに体験にもなっていないと思っていますが、ある意味では一方的な暴力は防ぎ難いと痛感しました。自分もイベント会場でたくさんの人が集う場所だから却って安全だと油断していたところはあったと思います。よく狙う方が狙われる方の3倍は強いと言いますが、現実はその比ではないと思いますし、心理的なストレスや恐怖感は日々相当なものになります。相手の方が脅し目的ではなく強い殺意を持って襲っていたら、自分の命は亡かったと思います。だからこそ拙い体験ではありますが、修練してきた武道の経験値と併せて実際に役に立つ護身術講習会を通して、皆さまの身の日常の安全を護るお役に少しでも立てれば幸いだと思っています。