防犯用具「さすまた」は役に立ちません。
宝石店を襲った強盗事件が起きました。この事件は新聞やテレビなどで放送されて、「さすまた」で立ち向かった勇敢な店員さんの映像が繰り返し流されていました。この映像を見て「さすまた」の導入を考えられた企業や学校お店等も多かったようで、自分のところにも「さすまた」導入の問い合わせや「さすまた」を用いた防犯講習会の依頼が数件有りました。誤った考え方で備え付けられ、使用されると却って生命の危険すらありますので取り急ぎお知らせします。
「さすまた」が却って危ない要素
1.「さすまた」は犯人を取り押さえる防犯用具ではありません。距離を保って複数人で一時的に犯人の動きを抑える目的の用具です。
2.このブログでも記したように、さすまたは犯人から距離を一気につめられると何の役にも立たません。
3.犯人からUの字部分を持って押し返しされると、「てこの原理」で容易に押し負けしてします。
※女性や高齢者など体格や体力に劣る人が安易に用いると犯人から反撃されてとても危険です。
現代の「さすまた」は別物です
そもそも「さすまた」は江戸時代に犯罪者を取り押さえる為に考案され使われた物と言われていますが、当時の「さすまた」は先端に刃先や戻しが付いていて攻撃性の高い武器で、現在の「さすまた」とは全くの別の物です。現代社会では殺傷能力があり危なすぎるという事で、攻撃的な部分を全て取り去り形状も変わっています。また宝石店襲撃事件の映像を見て頂くと一目瞭然なのですが、立ち向かった店員さんは、プロレスラーや力士さんかと思われる程立派な体格をされていて、「さすまた」の使い方も、ここで記したように、犯人の乗ってきたバイクを殴打して使えなくするなどで抑えるではなく叩く事に使われています。「さすまた」が優れていた訳ではなく、あの店員さんが体格に恵まれていて勇気があり、「さすまた」の棒として叩く機能を使ってただ単に「強かった」だけに過ぎません。
場合によっては「罪」に問われててしまう恐れも
犯人の攻撃力を奪う物としては、「さすまた」よりも木刀やバットの方がはるかに効果があります。ある程度の実践的な知識と経験がある人なら迷わず「さすまた」ではなく木刀やバットを選択します。事件後の警察の調べで、日本は平和なのはとても良いことなのですが、実践的な知識や経験の殆ど無い警察官や検事や裁判官が「さすまた」が施設に備え付けてあるのに、木刀やバットを用いて犯人を撃退した人を過剰防衛や暴行罪などで罪に問う危険性さえはらんでいます。そうなると犯人に立ち向かう人が更に少なくなってしまいますよね。「さすまた」を過信する事は却って危ないと思います。どうしても導入されたい方はお店や施設の奥の見える箇所に備え付ける等、「防犯カメラ作動中」や「警察官立ち寄り所」などの御守りステッカーと同じ位の効果しかないことをしっかりと分かって導入して頂きたいと思います。
防犯講習会についてはお気軽にお問い合わせください。