暴力に関する体験記・力士編

暴力に関する事件簿③

3件目の事件は、やはり30代後半頃だったでしょうか、空手教室の生徒たち3人と早めの忘年会で福岡市の中洲に出掛けた時です。知り合いのバーテンダーさんに紹介して貰った和食のお店の小上がりの座敷で美味しい料理とお酒を楽しんでいました。そこに九州場所中だったこともあり、お相撲さん3人が入って来られました。見るとはなく見ると1人は小兵ながら長く幕内力士を務められているA関取でした。残りの2名は付き人さんみたいでした。小上がりの座席が自分たちが居て空いていなかったので、少し不機嫌な感じでカウンターのスツール席に座られて飲み始められました。テレビで観るA関取は、200キロを超えるお相撲さん達が居る中では、小さく見えていましたが、実際に見るとやっぱり大きいなと感じました。小兵と言われていても100キロ位で、肩から首にかけての筋肉が凄いなと思いました。

力士は凄く強いです。

入店された時から、かなり酔われていたみたいでしたが、かなりのハイペースで日本酒を飲まれていました。お酒を楽しまれるのは良いのですが、かなり酒癖が悪く大声で叫んだり、お料理に無茶な注文をされたり、付き人さんを殴ったり、他のお客様にも悪態をつかれるなどで目に余るものでした。あまりにも酷いので、自分は立ち上がりA関取の処に行きお酒を嗜まれるのは結構ですが、他のお客様に迷惑になる言動は控えて頂けるようにお願いをしました。その瞬間でした。何が起きたのか理解出来ませんでしたが、見ていた自分の生徒たちによるとA関取は振り向きざまに張り手を自分に向けてかまし、自分は3~4メートル程飛ばされてスツール椅子をなぎ倒して倒れたそうです。まさか現役の関取が手を出してくるとは予想もしていなくて、天地が逆転してキーンと耳鳴りがして首の痛みを感じました。

後ろから死に物狂いの締め技。

お店の方も、自分の生徒たちも、他のお客様も呆然とされ固まってしまわれていて時が止まったようでした。自分は耳鳴りが続く中、やっとこ立ち上がりましたが、A関取は何事もなかったかのように、また酒を飲み続けています。自分は(あまり記憶にありませんが、、)油断されていたA関取の後ろにまわり手を首に回して死に物狂いで締め上げました。首回りがやけに太いと思いましたが、ここで離すと更に事態が悪くなると思い正に必死で締め上げました。(その頃の自分は無差別級の試合に出場する生徒の稽古相手になる為に70キロ超に体重を増やしてました。)A関取は苦しくなったのかタップしてきましたが、自分は緩めませんでした。付き人さんが謝りながら、離して下さいと懇願されるのと引き離そうとされるので臨戦態勢のままで緩めました。A関取は暫く咳き込まれていましたが、何が起きたのか分からない様子で、それ以上の攻撃はありませんでした。

やはり暴力は許されません。プロなら尚更です。

その後、お店のご主人が仲介して下さる形でA関取が謝罪と壊れたお店の備品代や自分の治療費を払うこと和解しました。A関取は素人が反撃して締め落とされそうになるとは思わなかったと言われていましたが、自分もプロの関取が素人に手を出すなんてありえないと言い返して、警察沙汰になったら力士生命に関わりますよと強く抗議して、誰に対しても二度と暴力は振るわないようにお願いしました。プロの格闘家の手足は凶器に等しいです。自分の首は幸いにも捻挫で済みましたが治療に3週間程かかりました。その後、A関取からは九州場所の時には何度か連絡があり、一緒に飲む機会も数回ありましたが、A関取は酒癖が悪くなることもなく、暴力を振るうこともなく、その時の出来事を酒の肴に楽しい一時を過ごせました。

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行政書士 辻賢一事務所