正当防衛とは
身を守る為に行った護身術などの行動が過剰防衛とみなされて処罰の対象になってしまうケースもあります。日本の刑法における 正当防衛 は、「急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しない」と定めています。また同条2項では、防衛の程度を超えた場合には 過剰防衛 として、情状により刑の減軽または免除ができるとされています。つまり法律は、自分や他人を守るための防衛行為そのものを否定しているわけではなく、「その場の危険を避けるために必要で相当な範囲」であれば許容しているのです。
過剰防衛の境界
しかし現実には、この「必要性」や「相当性」の判断が非常に難しく、正当防衛と過剰防衛の境界は、明確な線引きがあるわけではありません。裁判実務では、侵害の急迫性、相手の人数や体格差、武器の有無、被害者側の恐怖や緊張状態、その後の行動などを総合的に見て判断されます。特に、防衛の目的が「危険から逃れるため」であったのか、それとも「相手を制裁するため」に変化していたのかは重要なポイントになります。
取り押さえるではなく逃げること
そのため、護身術においても「相手を倒す」「勝つ」ことを目的とするのではなく、「安全に離脱する」ことを第一に考える必要があります。例えば、距離を取る、防御姿勢を取る、大声で助けを求める、「やめてください」と警告するなどの行為は、法的にも防衛意思を示す重要な要素になります。一方で、相手が逃走した後の追撃や、倒れた相手への継続攻撃は、防衛の必要性を超えた行為と評価されやすくなります。
拳より手のひら
また、裁判官や検察官は、その場の恐怖を直接体験しているわけではなく、供述、防犯カメラ映像、外形的行動などから事後的に判断します。そのため、「どう見えたか」という点も重要です。拳を握って前進する行動は攻撃意思と受け取られる可能性がありますが、手のひらを見せて距離を取りながら制止する行動は、防御的態度として理解されやすくなります。
勝つことでなく無事に帰ること
本来の護身とは、相手に勝つことではなく、自分や大切な人が無事に帰宅できることにあります。したがって、現代の護身教育では、技術だけでなく、危険察知、回避、離脱、そして法的知識を含めた総合的な安全意識を身につけることが重要だと考えられます。法律のお話を含めた防犯講座をボランティア活動として行っています。お気軽にお問い合わせください。
※テレビ放送された列車内での防犯講習会の様子です。(講師で出てます。)
「行政書士 辻賢一事務所」 防犯アドバイザー 空手道師範 辻賢一





