災害の増えるシーズンを前に

出来る人が出来ることを行う

梅雨や台風の被害が心配な季節をまえに、災害ボランティアを行っていて拙いながら思うことがあります。それは出来る人が出来ることを行うという事です。お金を寄付出来る人は寄付を、瓦礫や土砂の運び出し等の労働力を提供出来る人は労働力の提供で活動を行えば良いと思います。またボランティア活動とは違うかもしれませんが、被災地の特産品を買うとか、被災県の被災を免れた観光地を旅行するとか、被災地の自治体のふるさと納税を行うことも復興の後押しになると思います。ただ本当に難しいのは見返りを求めないという事です。人にはどうしても認められたいと承認欲求がありますので、上手く気持ちを整理出来ないケースもあります。災害ボランティアは基本的に被災地までの交通費宿泊費(車中泊の人が多いと感じます。)食事は自己負担が原則になります。被災された方のお気持ちを考えて倒壊した家屋の動画や写真撮影は原則として禁止の場合が多いです。(自己のSNSに挙げる為に撮影しようとする人もいます。)

食べ物を買おうとして入店拒否

大雨での水害後に朝倉市に災害ボランティアに出掛けた時の出来事です。土砂の撤去作業を終えて翌日の食べ物を調達しようと営業を再開したコンビニに入った時です。オーナーらしい店員さんから自分達の作業服が汚れているのと悪臭がするので出ていくように言われてしまいました。確かに服装は、ある程度は落としたといえ汚れているし、崩壊した土砂は、数日経ってペット動物の死骸なども混ざってかなりの悪臭を放っていました。(まだ自衛隊による簡易お風呂も設営されてなかった頃です。)作業するうちに自分達は悪臭にある程度は慣れてしまい鈍感になってしまっていたようです。そうは言っても食事も取れない事には翌日の作業も出来ません。困っていると地元の方々が声を掛けて頂き、店に入店できない自分達に代わって食べ物を買って来て下さいました。またボランティアに来て貰っているのに嫌な思いをさせてごめんなさいとお詫びの言葉まで頂きました。お店の立場に立って考えるとオーナーらしき店員さんの言われることも理解できて自分達も配慮が足りなかったと思いましたが、一方で釈然としない気持ちが残ったのも事実です。

偽善も善だと思います

よく、芸能人の方が被災地で炊き出しなどのボランティア活動を行って下さると売名行為とか偽善者とか批判される方も在ます。でも行って下さる行為は事実であり、尊い行為だと思います。芸能人の方にお会い出来るだけで笑顔になれる被災者の方もたくさんいらっしゃいます。スーツ姿で被災地を視察される政治家の方より膝を折って被災者に寄添われる皇族の方々や、一緒に瓦礫の撤去作業や炊き出しに汗を流して下さる芸能人の方々に被災地の方々がどれだけ元気や励ましを貰われているかは観ているだけでも伝わってきます。水害後の武雄市でスーパーボランティアの尾畑さんをお見掛けした時は、話しかけてこられた佐賀県の山口知事にボランティアセンターを早く立ち上げるように言って下さっていました。行動力があり実績もある方の言葉は重たいものがあるなと思いました。尾畑さんが言われていた言葉(正確ではないかもしれません。)で「かけた情けは水に流せ、受けた恩は石に刻め」があります。自分のような凡人には、とても遠く及びませんが亡くなった妻も応援してくれた災害ボランティア活動は自分の出来ることを無理せずに体力が続く限りは続けて行きたいと思います。

行政書士 辻賢一事務所